開催日時:2009.11.28(土) 13:00〜16:00 (12:30より受付開始)
会場:独立行政法人国立病院機構京都医療センター附属京都看護助産学校
「脳卒中市民講座を開催して」
去る11月28日、当院敷地内の附属京都看護助産学校で脳卒中市民講座が開催されました。これは、当院と京都第二赤十字病院、(社)日本脳卒中協会の協賛により毎年行われているもので、昨年は京都第二赤十字病院で開催されました。この日は山肌が紅く色づき冬の到来を感じさせる肌寒い日でしたが、172名もの方々にお越しいただき、あっという間に席が埋まってしまいました。予想以上に多くの方が参加したので、実際の会場とサテライト会場の2会場に分かれて会が催されました。
さて、会自体は予定時刻に始まり、最初に当院脳神経外科部長の塚原徹也先生から開催のご挨拶がありました。この日の塚原先生はとてもオシャレにコーディネートされ、いつもの白衣姿とは違う一面を見ることができました。
今回は7つの講演が用意され、そのうちの1つは脳卒中体験談でした。「私の脳卒中体験談」としてお話されたのは、なんと元NHKアナウンサーの山川静夫様です。アナウンサー時代の楽しい逸話を交え会場からは笑いの声があがっていました。さすがお話が上手で感激しました。実際に脳卒中に至るまでの食生活にも問題があったとのことでしたが、そのライフスタイルを変えることはなかったようです。発症時の奥様の対応が早かったこと、前向きにリハビリに取り組まれたことが回復につながっているのがひしひしと伝わるお話でした。アナウンサー時代の発声練習「あえいうえおあお」がリハビリになっていたようで毎日続けていたそうです。「リハビリはお休みしてはいけない、毎日することが大切で自分に負けてはいけないですよ」と会場の皆さんに訴えておられました。お越しいただいた方をとても勇気づけるお話だったと思います。
2人目の講師は当院音楽療法士の飯塚三枝子先生で、当院での取り組みを交えてお話されました。エレクトーンを使い会場と一体になって合唱する場面もあり、非常に和やかな雰囲気に包まれていました。私自身が印象に残ったことは、音階によって相手に与える印象が違うということです。「おはよう」と挨拶し返ってくる「おはよう」が高い声のほうが明るくさわやかな気分になります。今後意識してみようと思いました。また、実際の音楽療法では慣れ親しんだ音楽を聴くと自然と続きを歌おうとしたり、体にしみついた振付が自然と表現できたりと音楽はリハビリにとても有効だとのことでした。
続いて私からは食事の話です。実際にどの程度塩分をとっているかいくつか質問し手を挙げていただくと、周りと相談しながら手を挙げ参加してくださっていました。年齢を重ねるごとに塩分を感じにくくなるので日ごろから減塩しましょうと減塩のポイント、調味料の使い方についてお話し、締めくくりました。アンケートからは食事に気をつけようと思ったとの意見があり、うれしい気持ちになりました。
4人目は国立循環器病センター脳血管専門看護師の苅山有香先生から喫煙・食べ過ぎ、多量の飲酒など生活習慣の乱れが脳卒中の発症に大きく関与していることをお話され、生活上の注意点についてまとめられました。
次に、当院神経内科医長の大谷良先生から脳卒中と認知症の関係についてのお話でした。認知症の30~40%を脳血管性認知症が占めており、認知症予防のためにも脳卒中を予防することが重要であることをわかりやすくご説明されました。
続いて当院脳神経外科医師の村上守先生からは2005年10月に保険承認された最新の脳梗塞治療であるrtPA静注療法についてのお話でした。rtPA静注療法とは脳を栄養する動脈に詰まった血栓を溶かし脳梗塞を最小限にとどめる治療法で、症状が出てから3時間以内に投与することが条件になっているため「半身の脱力・麻痺・言葉のもつれ、言語障害」など脳梗塞を疑う症状を認めた場合はできるだけ早く医療機関へ受診するようにとのことでした。
最後に締めくくられたのは、京都第二赤十字病院脳神経内科部長の山本康正先生です。脳卒中、血管性認知症、また慢性腎臓病を予防する上で血圧コントロールが重要であり、家庭で測定する血圧が最も大事であるということでした。起床後と就寝前に測定し、その結果を受診時に医師へ相談するようにおっしゃられていました。
会の最後に抽選会を行い景品は家庭用血圧測定器でした。当選番号が読み上げられる度に歓声と落胆の声とありましたが、会場からは楽しそうな雰囲気が感じられました。終了予定時刻を超過してしまいましたが、非常に内容の濃い講演内容でアンケートからもご満足いただけた様子がうかがえました。だんだん寒くなるにつれ脳卒中の入院患者様が増えているのを実感しています。予防という意味でもこの寒い時期にこのような機会を設けることは実に意味のあることだと思います。私は管理栄養士として初めて関わらせていただきましたが、少しでも食事に注意しようと意識してくださった方がおられたようなので、とてもうれしくやりがいを感じました。今後も個人栄養指導でお役に立てられたらと思います。
最後に、このような機会を与えてくださった塚原先生をはじめ、関係者の皆様に深謝致します。

